初出:2025/10/16

先生、くられ先生、ああ、居た居た。えーと、案件の引き合いが来たんですけども・・・

どれどれ・・・おおう、うちにインチキサプリの営業かけるとか、勇気あるな(笑)

はっはっは! 宣伝してやればいいではないか。盛大にな!!

いや、盛大にナニをする気ですか。怖いんですけど。

まあ、画面一杯に「案件なので宣伝しますがこれはインチキで効果がありません」って、デカデカとテロップ載せていいならやるよって返事しといて

・・・いや、無駄に喧嘩売りたくないんですけど。穏当に断っておきますね。

なんだ、つまらんな!

ウチ、事務適性あるヤツ少な過ぎんか・・・?
※変なサプリ飲むくらいなら運動してプロテインでも飲んでおきましょう。
インチキを確実に見抜くのは難しい
最近ではめっきり、企業の宣伝でも「マイナスイオン」「波動」「デトックス」などといった、科学的根拠のないオカルト商法が当たり前のように並び、テレビでは、薬機法ぎりぎりのサプリ通販が跋扈しています。
SNSでは反ワクチン運動だけでなく、食い詰めた医師が、未承認の効果のない医療行為を、インフルエンサーを使って宣伝していたりと、何を信じればいいのかと頭を抱える人も多いことでしょう。
科学とは積み重ねの学問なので、それぞれの嘘を確実に見極め判断するのは、本当に難しい問題になりつつあります。
反ワクチンなどでは、医療に対する不信から、医療従事者に実際に嫌がらせをする人も出てきて、警察沙汰になることも・・・
確かに、日本をはじめ多くの国で、権威化した医療構造の中から、重大な薬害が繰り返されてきた歴史があるのは事実です。サリドマイド薬害や薬害エイズ問題など、多くの人の記憶に残っているコトだと思います。
しかし、そのたびに医薬品の承認や、監視の体制は大きく強化されているのですが、そういった進歩は報道であまり取り上げられません。よって、「何も変わっていない」と感じる方も多いのですが、実際には制度面の透明性と再評価プロセスは、格段に厳しくなっています。
ニュースは、どうしてもセンセーショナルな部分を強調するため、背景の仕組みまで伝わりにくいのです。
怪しい情報を判断する目安
なので、過去にこういう問題があったから信用しない・・・では、水道の水さえ安心して飲めませんし、携帯だって、電波の危険性が怖くて使えません。
実際には、見えないところで多くの専門家のたゆまぬ努力の積み重ねによって、安全性は当たり前のように担保されていますが、そうした努力が見えないから軽んじて良いわけではないのです。
一方で、いわゆる「ワクチン薬害訴訟運動」や、反ワクチン的な活動の中には、問題提起そのものではなく、“確証のない不信を広げること”を目的化しているグループも存在します。
医療従事者でもない一般の方が、そうした情報の真偽を見抜くのは確かに難しいでしょう。
一部の勉強のできる人は、オリジナルの論文を読めだの、ジャーナルの信憑性を確認しろとかいう話にもなるのですが、そんなものを門外漢に求めるには無理があります。自分も、専門外のジャーナルなんか読んでもチンプンカンプンです。
けれども、怪しい情報かそうでないか・・・判断の目安になる点が二つあります。それを今回、説明しておこうと思います。
判断材料は「誠実さ」
- 一次情報(論文・公的データ)を検証しているか、それとも感情的なストーリーを優先しているか。
- 間違いが指摘されたときに訂正するか、それとも“敵”を設定して断固否定したり、話をそらして嘘で塗り固めるか。
基本的には、この二つを観察するだけで、その情報源が科学的誠実さをもっているかどうかは、かなり見えてきます。カルト的と感じる運動の多くは、検証より煽動、訂正より攻撃を選ぶ傾向があります。
本来の敵はウイルスや感染症であって、人や企業にヘイトを向けても問題は消えません。
医療とは「すべてに安全である」ことを保証できませんが、リスクを可能な限り低減し、人命を守る方向へ改善を続ける営みです。
多くのワクチンは特に影響がないですが、ものによってはワクチンにも副反応があり、軽くない症状が出る方もいます。自分も毎度、新型コロナのワクチンを受けた後は、数日は具合が悪いです。
誰だって、お金を払って具合が悪くなる注射を喜んで受けたいわけがありません。でも、実際に感染症にかかった場合、副反応なんか可愛くなるくらい危険だから、あえてワクチンを打つわけです。
参考資料各種

専門家とデマ屋を同列にしてはならない
だからこそ、その不安や怒りに寄り添うふりをして、あやふやなデータやデマサイト発の情報で「不要だ」と断言する発信者がいることは、非常に恐ろしいと言えます。
一般的な医師や薬剤師、多くの科学者たちは、何千・何万時間をかけて人間の健康と病気について学び、実践し、失敗から学んできた人々です。そうした専門家たちの意見よりも、ネット上で正体の分からない“自称〇〇”の言葉を同列に扱うのは、あまりに危うい考え方です。
さらに留意すべきは、多くの反ワクチン運動や陰謀論ビジネスの中心人物が、過去に虚偽情報の発信や営利目的のデマで、行政処分・刑事罰を受けた経歴を持つという事実です。
たとえばアメリカでは、ロバート・F・ケネディJr.氏が、ワクチンに関する誤情報を繰り返し拡散し、複数の科学機関やメディアから正式に訂正・警告を受けています。
彼らの発信は“科学的議論”というより、“政治的プロパガンダ”に近い性質を帯びているのです。また彼の運営しているChildren’s Health Defense (CHD)というサイトでは、引用元が不明な謎の論文もどきが多数観測されています。しかしそれらは、それなりの専門家によって巧妙に作られており、専門家でもすぐに見分けられるようなものではありません。

危険を見極めて、自信の安全と財産を守るためにどうすればいいのか。
不穏な情報を見つけたときは、まずは「その情報を出している側が誠実な検証者なのか」を見極めることが欠かせません。
それには時間と労力が必要ですが、科学への信頼を守るための最低限の防衛線です。「誰が言っているか」よりも「何を根拠に言っているか」を確かめることこそが、私たちのリテラシーの核心です。
そう、この文章だって、ネットのよくわからん仮面のオッサンが言ってることですから、まずは鵜呑みにせず、自分なりに考えて、自分や身の回りの人を守る最前の手を考えてください。
そして、わけのわからないSNS上の人物ではなく、身近な医師、薬剤師、保健所の案内や役所のサービスなどを頼ってください。
著者紹介

作家、科学監修。「科学は楽しい!」を広めるため科学書分野で20年以上活動。著作「アリエナイ理科」シリーズ累計50万部突破。原作を務めるコミックス「科学はすべてを解決する!!」も50万部を超える。著作「アリエナクナイ科学ノ教科書」が第49回・星雲賞ノンフィクション部門を受賞。週刊少年ジャンプ連載「Dr.STONE」においては漫画/アニメ共に科学監修を担当。TV番組「世界一受けたい授業」「笑神様は突然に・・・」NHK「沼にハマってきいてみた」等に出演。ゲーム実況者集団「主役は我々だ!」と100万再生を超えるYouTube科学動画を多数共同製作。独自YouTubeチャンネル「科学はすべてを解決する!」チャンネル約30万登録やTwitterフォロワー16万人以上。教育系クリエイターとして注目されている。関連情報は https://twitter.com/reraku
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