【酒税の怪物】ストロング系チューハイという突然変異のミュータント

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初出:2019/10/15 Vol.350 ストロング系チューハイという突然変異のミュータント

Joker
Joker

うぃ・・・今日も今日とてお酒が美味しいです、先生。

くられ
くられ

のっけから酔っ払ってるんじゃないよ(笑)。しょうがない奴だなー。

Joker
Joker

そこはそれ「今夜ばかりは飲ませてもらおう」ということで一つ。ほどほどにしますから。

くられ
くられ

まあいいけど。今回はストロング系チューハイの話である。

Joker
Joker

あー・・・あれヤバいですよね。飲んだことありますけど、すぐベロンベロンになりますよ・・・度数、ビールの倍近いわけですし、ビールと同じかそれ以下のチューハイ感覚で飲むと大変アレです。

くられ
くられ

中身は醸造アルコールで、実質バイオ燃料・・・それを飲んでるわけだし、映画「マトリックス」の機械に使うアルコールを飲んでるのを笑えない。

Joker
Joker

どうせ飲むなら美味しく適量を飲みたいものですね。

ビールと酒税

この前Twitterでストロング系チューハイがミュータントという話をしたのですが、今回はその理屈をちょっと掘り下げてみましょう。

日本という国はわけのわからない税金が各所にちりばめられており、見た目は低くても実質、世界各国の中では相当な重税大国です。そして年々税制が複雑化して税金がじわじわ上がって生活が苦しくなっているのは皆さんもご存じの通りです。

例えば、ビール1本、220円として酒税額は約77円、消費税額が22円と概算すると、99円が税金です。要するに税金がなければ本来の価格は121円というわけです。

酒税は国にとっても主要な税収源ですから取りたい気持ちもあるのでしょうが、その結果、麦芽の比率を抑えた第2のビール、第3のビールなんてものが登場してはそれらが「ハイだめーー!」と即座に税金をかけられて値上がりして結果衰退するというのを横目で見てきた人は多いと思います。

国というゲームマスターはユーザーがユーザー同士でメリットがあって少しでも胴元に入る金が少なくなるとルール改訂を打ってそれを止めるわけです。なかなか悪質な運営です(笑)。

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酒税のイタチごっこの果てに生まれた怪物

1890年代には国税の3〜40%をも占めていた酒税。

しかし、2005年には3%台、そして2014年には、2.5%を割っています。

そうであるにも関わらず、基本的には少し安くなることはあっても、抜本的に安くなるということはありません。

さらには、酒造メーカーの新規参入まで、法律そのものによって大きく阻まれており、国産の酒というのは生まれにくい状況・・・という話を、日本酒やワイン製造を行なっている小さな蔵元やワイナリーで聞くので、そういう構造になってしまっているのでしょう。

特にビールは酒の中ではぶっちぎりの出荷量(全体の4割近く)のため、特に第2、第3のビールを造っても酒税法改訂で課税されて潰されるという、メーカーの努力を国が即座に潰しに来るというやりとりがあったわけです。

そんな度重なる課税ストレスにより酒造メーカーの良心のタガがはずれたようなものが、ストロング系チューハイでしょう。

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ストロング系チューハイの安さの理由

「10度未満で発泡性の酒」は、350mlあたりの税金で28円。ビールが77円なのに比べてずっと安いわけです。故に、一部例外を除いて9%なわけですね。

その中身はといえば、醸造アルコール・・・ぶっちゃけバイオエタノールに、ガムシロップ、香料、甘味料、酸味料! 以上!

せいぜい、後は果汁分が少々といった程度で、ソフトドリンクを安上がりに仕上げるノウハウをそのままアルコール飲料に転化して、税法的に最も安くなるという、原価激抑えのガブガブ行ける高アルコール飲料という、パンドラの箱のフタが開いたわけです。

原価は果汁分数%以下のソフトドリンク原価にアルコール代。具体的には1リットルあたり数十円と、当然普通にちゃんとした材料から作るアルコールより遙か彼方の安さです。

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一線を超えた感のあるPR

売り方もご存じの通りの開き直りっぷりが凄まじい(笑)。

「昼から飲もう!」的なPR、「健康? なにそれ飲んでから考えよう!」「いっぱい飲んだら現金プレゼント!」みたいなノリでコマーシャル展開をしているのは、酒造メーカーとして今まで薄皮一枚で作ってこなかった商品へのプライドを捨てた感じが伝わってきます。

これらの簡単に酔っ払える安酒は今や空前の売り上げへとなりつつあり、そこから生み出される健康被害、しいては国保への負担は酒税なんかより遙かに重いんだろうなと思うと、なかなか感慨深いものがあります。

そもそも醸造アルコールの技術自体、農水省や経産省がバイオ燃料として肝いり予算で開発したものです。

トウモロコシの芯や稲わらなどを亜臨界水などでセロオリゴ糖に分解し、バイテク技術の結晶ともいえるスーパー酵母菌によって生み出されるエタノール・・・が何の因果か国民がガブガブ飲むことになるとはなかなか本当に感慨深いものがあります(笑)。

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参考リンク

http://www2.itc.kansai-u.ac.jp/~hkyoji/PDF/wakabayashi2018.pdf

関連記事

ビールと酒税のイタチごっこに関しては以前も紹介しました。

酒のうまさをドーピング

亜留間先生の飲むと死ぬドラム缶醸造酒の話

具体的なアルコール分解速度の話。ストロング系500ml2本でワイン一本分くらいのアルコール量になります。

お酒を飲むなら美味しく適量を・・・ということで、Jokerのカクテル記事一覧は以下

じょかセレクション
「じょかセレクション」の記事一覧です。

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