【ダイエット】話題の「痩せるクスリ」オルリスタットに潜むリスク

美容と健康
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初出:2022/12/02

くられ
くられ

最近、新しいダイエット薬が話題になっているようなので、早速、入手してきたぞ!

Joker
Joker

へぇ〜〜、そんな薬があるんですね。でも、本当に効果があるんですかそれ?

くられ
くられ

そこは実際に使ってみて・・・と言いたいところだが、まあ実際のところ、今までも実は取り上げた事がある薬だからな。詳細は解説を見てもらうのがいいだろう。

Joker
Joker

・・・大変イヤな予感がするんですが。

POKA
POKA

はっはっは! 何、コイツを食べた時と同じような症状が出るだけだぞ(ドン!)

Joker
Joker

これは、魚の切り身?

POKA
POKA

これは「バラムツ」という魚だ。ほら、とても油が乗っているだろう?

新しい肥満改善薬として話題になっている「オルリスタット」

2022年11月28日のニュースで、「抗肥満薬」オルリスタットがOTCとして薬局で販売が開始されるということで話題になっています。

「抗肥満薬」オルリスタット、処方箋なしに薬局で購入可能に…ネット販売は不可
【読売新聞】 厚生労働省の専門家部会は28日、大正製薬が販売する抗肥満薬「アライ(一般名・オルリスタット)」を、医師の処方箋なしで薬局で買える薬として承認することを了承した。来年3月にも正式に承認される見込みだ。厚労省によると、日本

この薬剤は、拙著でも過去に何度か取り上げており、その抜粋や最新の情報をあわせてまとめておきました。

まず、結論からいうと、誰でも気軽に飲んで良いかといわれると、社会的リスクが伴う危険性があります。つまり、油状便をオナラと一緒に漏らす可能性の高い薬剤です。その理由と仕組み、効果について説明していきましょう。

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薬としての効果は「油の吸収阻害」

さて、話題のオルリスタットですが、使用実績としては非常に長い薬で、2005年の時点でで149カ国で認可され、欧米で6千万人近い処方例もあり、現在も広く使われている薬剤です。安全性は折り紙付きで、毒性はほぼありません。

薬剤の効果としては、油の吸収を阻害するという内容。

ただし、血中に入り、そこから作用を及ぼす薬ではなく(最高血中濃度(Cmax)は数μg/Lと極めて低い)ほぼ吸収されずに消化管を通り、便として、食べ物と一緒に出て行く素通り薬剤です。

その素通りの道すがら、油を消化吸収するための消化酵素であるリパーゼ(胃リパーゼ、膵リパーゼ)が油を分解する作用を可逆的に阻害し、油自体を体に吸収させずに便中にそのまま出したれという「カロリー爆弾である油の吸収を邪魔してしまえばカロリーゼロじゃん!?」という感じの思想体系の薬と言えます(笑)。

ちなみにゼロにはぜんぜんなりません。

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2年間で体重の10%前後を自然に下げる

このオルリスタットは、食事と共に入った脂肪の吸収を阻害する薬で、それだと、すでに薬局に並んでいるダイエットサプリメントと同じような印象を与えます。

しかし「食べた油なかったことに!?」みたいに標榜しているサプリメントは効果はゼロで、無意味なゴミですが、オルリスタットはそれを可能とする薬であるといえます。

このオルリスタットの服用のみで、2年間の長期服用の結果、体重の10%前後を自然に下げることができるとされています。

ただしこれは、日本人の感覚でいうとかなりの肥満体の話であり、ちょいプヨくらいの人がスリム体型になるというような減量効果ではない点には注意が必要です。

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食べた油の30〜40%を「なかったこと」にする

オルリスタットは、腸内のリパーゼ吸収を選択的に阻害する薬で、言わば食べた油の30〜40%を「食べてない」ことにしてしまう、そんな効果があります。

腸管以外からは吸収されないため、他の臓器への負担も少なく、かなり安全に脂肪吸収阻害を行うことができると言えるでしょう。

このグラフは、2年間に渡り、オリルスタットの減量効果を688人の肥満患者で観察したもので、プラセボ(偽薬)に比べて明らかに高い効果を持ち、また偽薬投与患者半数、オリルスタット投与患者を1年目で交代させたところ、やはり、高い減量効果が確かめられたという研究報告です。

さらに、これらの患者のほぼすべてに、最大20%ものコレステロール値が下がったということも分かっており、脂肪だけでなくコレステロールの吸収も阻害していると考えられています。

この薬は脂肪吸収阻害に特化した唯一の肥満治療薬であり、特にBMIが25を超えてる人が、まずは体重を10%前後時間をかけて落とす場合に最適といえます。

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だからといって爆食しても良い訳ではない

さて、こう見ると、「めっちゃ最高のやせ薬じゃん! はやく飲まないと!! これで爆喰してもOKだぜ」と思うかもしれませんが、それは早合点です。

多くの論文や研究データで、めざましい減量効果が出ているものは、低カロリー食などの根本的な減量療法が行われている中、ダメ押しでオルリスタットが使われた場合です。その場合は有意な減量効果が見られますが、それ以外では見られません。そして有意といっても10%程度というのが結論です。

ようするに、普通にカロリー制限をしないで、この薬さえ飲んでいれば、油の吸収が阻害されて、楽々ダイエットできてハッピーということは無い、ということです。残念ですね。

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社会的に危険な副作用がシャレにならない

さて、一番最初に触れた、肝心な副作用の話をしましょう。この薬にはかなりの確率で社会的にヤバい副作用が発現することが知られています。

油が未消化のまま、吸収されなくなる、と言いましたね。これは、そのまま便として排出される、ということです。

つまり、ウンチと油が一緒に出ます。

トイレに真っ赤な油(胆汁が溶けているため赤っぽい)がウンチと一緒にうき、凄まじい悪臭を放ちます。さらに本来腸内にあるべきでない量の油が存在することになります。

結果としてオナラの量が増え、その結果、オナラの圧力で、油によって潤滑剤となって便失禁、切迫便失禁という、日常生活のさなか、突如、大量の悪臭を放つ油が肛門からあふれ出る可能性が高いのです。

実際、かなり多くの利用者の間で報告されています。

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ノーリスクでらくらく痩せるとは、やはり行かなかった・・・

こうした副作用は通常3ヶ月以内に消失するとされていますが、その便失禁の恐怖にまけて服用を辞めてしまう人が多いのです。

そもそも、それ以前にこの薬が効果を発揮するには、根本的な摂取カロリーや栄養のコントロールがマストであり、その上でダメ押しで使える薬剤であるということを認識しておきましょう。

繰り返しますが、この薬を飲んだからといって爆食したらダメなのです。カロリーコントロールが大前提で、あくまでその補助ということをお忘れなく。

そんな簡単に痩せられたら苦労しません(笑)。

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油自体を消化できないものにするとどうなるか?

ちなみに、では油自体をカロリーゼロの消化出来ない油にしてしまえばいいじゃん!? という発想でアメリカのP&Gが食品添加物として、オレストラというカロリーゼロの油を作っています。

これで作られたポテトチップはすごい売れたのですが、その後、吸収できない油は便中に出る、つまりは、油便や切迫便失禁を起こす、ヤバいお菓子であるという話が速やかに広まり、売り上げは激減しました。

まあ、薬で吸収させないようにしても、そもそも消化できないものにしても、油が便として出る部分は変わらない訳です。

冒頭茶番で触れた、食べると下痢をして油を垂れ流すというので有名なバラムツしかり、というお話。ちなみに正確には油ではなくワックスというのが正しいです。

いずれにしても、油を吸収させずにカロリーオフするという考えは、どうも健康的な減量にはなかなかそりが合わないようです。

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著者紹介

くられ
くられ

作家、科学監修。「科学は楽しい!」を広めるため科学書分野で十数年以上活動。著作「アリエナイ理科」シリーズ累計30万部突破。著作「アリエナクナイ科学ノ教科書」が第49回・星雲賞ノンフィクション部門を受賞。週刊少年ジャンプ連載「Dr.STONE」においては科学監修を担当し、フィクションと実科学との架け橋として活躍。TV番組「世界一受けたい授業」「笑神様は突然に・・・」NHK「沼にハマってきいてみた」等に出演。ゲーム実況者集団「主役は我々だ!」と100万再生を超えるYouTube科学動画を多数共同製作。独自YouTubeチャンネル「科学はすべてを解決する!」登録者20万人突破。Twitterフォロワー13万人以上。教育系クリエイターとして注目されている。仕事の依頼や関連情報は https://twitter.com/reraku

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