初出:2014/05/20 Vol.68 ペットと植物
改稿:2020/02/16

今回はペットと植物の話をお送りする。その辺の観葉植物が、実はペットに対して猛毒だった・・・というのは、結構ある事例なのだ。

人間の食べ物を与えるのは良くないとか聞きますが・・・確かタマネギとかダメなんですよね?

うむ。タマネギやニンニクはアウトだ。そして、同系統の植物であるスズランとかテッポウユリみたいな観葉植物もアウトなわけでな。ことによっては生け花の水を飲んだだけで・・・ということもある。

なんとも痛ましい・・・あ、そういえば、キシリトールもダメなんでしたよね。

犬猫には猛毒である! 特に犬が有名だけど、それは甘いものを欲しがって食べて中毒死する事例が増えたからで、もちろん猫にも良くない。

うっかり食べさせたりしないように要注意、ということですね・・・ところで先生、この部屋、ペットどころか人間にも危険な植物が山ほどあるような気がするんですが・・・

大丈夫! 我が家の猫は入ってこないようにしているから!

いや、だから、そこのトリカブトとかドクウツギとか・・・

毒草をコレクションするくらい、ごくごく一般的でありふれた趣味ではないか。ほら、ここにチョウセンアサガオもあるぞ!

それ、先生が昔サイコブレイクを起こした奴じゃないですか・・・
毒のある観葉植物
観葉植物の中には、毒があるものがちらほらとあります。
以前、別記事で園芸品店にある毒草の話をしたこともありますが、つまりは、そういうお店で売られている植物の中にも、有毒なものがある、ということです。
したがって、小さな子どものいるご家庭には、そういった毒のある観葉植物は置かないように注意しよう、という話がありますが、これは動物にも言えることです。
人間は雑食性なので、多少、変な植物を食べても、しばらく具合が悪くなる程度で済むことが多いです。もちろん、それでは済まない場合、子どもには危険な場合があるので、注意しようという話ではあるんですが・・・
さておき、犬や猫は、人間なら平気な植物であっても、ものによっては極めて危険な状態に陥る場合があるのです。
今回はそんな植物の話を中心にお送りしていきます。
ペットと植物事情
基本的には、そもそもの話、犬猫はそんなに勝手に植物を食べたりはしません。
もしそういう植物をバクバク食べて中毒死するなら、畑や植物の茂る庭で、野良猫が死にまくっているはずです。
ではなぜ、ペットに限って痛ましい中毒死が起きるのか、といえば、それは屋内飼育のペット特有の事情もあります。
屋内には緑が、それこそ観葉植物の類を除くと基本的にはありません。しかし、猫なんかは植物を定期的に口にして、毛玉の排出を促そうとするので、食べられそうな植物をかじってしまうことがあるのです。
実際、このような猫草の類を猫のために育てている方もいると思います。
ユリ科の植物が危険
さて、実際に犬猫に危険な植物は何かというと、特に危険なのがユリ科の植物です。
タマネギ、ニンニクはもちろん、スズラン、イヌサフラン、アスパラなどは犬も猫も致命的に相性が悪く、生け花に好んで使われるテッポウユリなどの水を飲んだだけで具合が悪くなり、死んでしまう可能性もあります。
猫のユリ中毒の事例は、以下のようなものがあります。
この事例では、法事で持ち帰ったユリの花を猫が囓ってしまって治療の甲斐なく・・・という痛ましい話です。
犬は、人間の食べ物を欲しがるので、ニンニク、タマネギを摂取してしまう可能性が高く、また家に転がっているタマネギをオモチャにして死亡という例もあります。
この辺、植物の他にも、甘いものを食べたがる犬にキシリトール入りのお菓子やガムなどを食べさせてしまって・・・という中毒事例もあります。
個体差はもちろんあるものの、キシリトールは犬猫には猛毒なので、間違っても食べさせないようにしましょう。
家に観葉植物や生け花を置く場合は、それが毒性が高いかどうか、面倒でも調べた方が良いです。
幸いなことにググればなんでも一発で分かる時代。スマホで一瞬検索するだけで守れる命もあるということです。
著者紹介

サイエンス作家、タレント。シリーズ累計20万部の「アリエナイ理科」シリーズを始め楽しい科学書の分野で15年以上活躍。週刊少年ジャンプ連載「Dr.STONE」においては科学監修を務め、フィクションと実科学との架け橋として活躍中。TV番組「世界一受けたい授業」「笑神様」「MATSU」ぼっちの出演や、YouTubeで80万再生を超える科学動画を「主役は我々だ!」と共同製作も。仕事の依頼や関連情報は https://twitter.com/reraku
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ちなみに青汁の「大麦若葉」は、実な猫草のこと
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