【食品衛生を学ぼう】消費期限切れの食品の中で起きていること

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初出:2020/05/19 Vol.381 消費期限切れの食品の中で起きていること

くられ
くられ

引き続き食品衛生の話、今回は期限切れの食品の中で起きていることについて触れていこう。

Joker
Joker

こう、ダメになったものを食べるとお腹を壊すのはなんでかって話ですか。

くられ
くられ

食中毒にもいろいろあるが、病原性の細菌が増えてたりするとあかんね。まあ、食品の中にはほぼなんらかの細菌がいるわけだが・・・

Joker
Joker

そんな簡単に無菌にできるかという話は、前回も言ってましたね。

POKA
POKA

はっはっは。火で焼いて滅菌すると消し炭になって食うところが残らんからな! 完全に滅菌したいならここはやはり人間が1000回くらい死ぬほど放射線を当てまくって・・・

くられ
くられ

と、そんな危険な工程をやるのは現実的ではないから、無菌にこだわる理由はないのだ。大半は加熱殺菌すれば死ぬし。食品を安全に提供するのもいろいろ大変だし、食品添加物とかも必要なものだからあるんだよ。

POKA
POKA

おい、せっかく準備してきたのだ。ちょっとくらい放射線を当てたっていいだろう?

Joker
Joker

いや、その、ちょっとで1000回も死にたくないですよ・・・

おさらい・消費期限と賞味期限

前回、消費期限と賞味期限の違いについて触れました。

簡単におさらいをすると、

消費期限は、製造日を含めて5日以内には悪くなってしまうもの、弁当、精肉、生菓子、生麺類、パン等に記載されるもの。

賞味期限は、「定められた保存方法であるかぎり期待される品質が十分のもの、ただし該当期間を超えた場合があってもこれらの品質が保持されていることがあるもの」という緩めの定義で、日持ちするインスタント麺やスナック菓子、レトルト食品などに付けられるものでした。

その中で、細菌の話が出てきたので、そうした細菌がどういうことをしているのか・・・つまり、期限を過ぎた食品の中で何が起きているのかを簡単にお話しておきましょう。

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食品中の微生物・病原性と非病原性

まず、ほとんどの食品中には必ずなんらかの細菌や真菌類(カビや酵母の仲間)がいます。

微生物というとザックリしすぎているのですが、生物学的な分類ではなく、食品の安全性の面からすると、病原性細菌と非病原性細菌に分かれます。

この2つの区分は重要で、病原性細菌というのは、細菌自体が体内に入ることで体内で増殖したり、人間にとって危険な成分を生産する細菌のことです。

O-157やO-111といった「病原性」大腸菌のニュースは、毎年1、2回は話題になるのでご存じの通り。

そして、「病原性がある」ということは、「非病原性もある」ということです。また最近はノロウイルスに汚染された生牡蠣などの中毒といった話もあります。

たまに勘違いしている人もいますが、ノロウイルスが原因なので、生牡蠣の食中毒は鮮度によりません。

ノロっていたら当たるので、生食をする場合は必ず生食用のものにすること。加熱用の牡蠣はちゃんと火を通して食べましょう。

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細菌の繁殖と保存技術

さておき、逆に「非病原性」の大腸菌だと、例えば手作りのお弁当などがそれにあたります。

いやいや、ちゃんとよく洗った手で、頑張って衛生面にも気をつけて作ってるし・・・と、そう思うかもしれませんが、朝作って、昼食べる頃には、信じられないほど細菌が増殖しています。

しかし大半が大丈夫なのは、それが病原性菌ではないからなのです。

食品にいる微生物の大半は加熱殺菌することで死にます。中には生産した毒素は消えないもの等様々ですが、多くの菌は食品の表面にいるので、普通は火を通すことで安全に食べることができるわけです。

昔は現在のような冷蔵技術がありませんから、肉や魚は干したり、塩漬けにしたりと保存方法を工夫したわけです。こうした保存技術のキモは、細菌の活動を抑えるという点にあります。

水分が無ければほとんどの細菌は活動できませんし、塩が高濃度であれば通常の細菌は細胞膜から水を奪われ死んでしまいます。

しかし、当然それも永久ではなく、いずれはその環境に適した菌が活動し、腐敗を始めることがあります。

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食品を安全に提供するための「食品添加物」

ただ、基本的に無毒の菌であっても、それが分解しまくった生鮮食品は、分解物が増えるとやはり美味しさという点ではマイナスになります。

なので少し悪い感じがしたけど食べても大丈夫だった・・・ということはそこに非病原性菌がウェーイしていたといえるわけです。

もちろん逆に良い菌もいます。いわゆる発酵食品の類いがそうで、漬け物には膨大な数の乳酸菌の仲間が入り込んでおり、それらは腸内で消化吸収を促進するほか、メタンガスなどを好んで作る細菌の働きを押さえ込んだりします。

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いずれにしても微生物と食品は切っても切れない関係にあります。

よからぬ菌の活動を抑えるためにも、消費者が多少の無茶(開封後箸でつっついたものをそのまま冷蔵庫に戻すなど)しても大丈夫なように「保存料という添加物」が使われているわけです。

保存料が入ってない、無添加だからと食品を選ぶと、その食品は封を切ったあと傷むスピードが速い可能性が高いとも言えます。

食品添加物、特に酸化防止剤や防腐剤の類いは無闇矢鱈に、無意味に添加しているわけではなく、食品を安全に提供するために使われているということを改めて記憶の片隅に置いておいてほしいところです。

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著者紹介

くられ
くられ

サイエンス作家、タレント。シリーズ累計20万部の「アリエナイ理科」シリーズを始め楽しい科学書の分野で15年以上活躍。週刊少年ジャンプ連載「Dr.STONE」においては科学監修を務め、フィクションと実科学との架け橋として活躍中。TV番組「世界一受けたい授業」「笑神様」「MATSU」ぼっちの出演や、YouTubeで80万再生を超える科学動画を「主役は我々だ!」と共同製作も。仕事の依頼や関連情報は https://twitter.com/reraku

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