くられ先生のダイエット講座:糖質制限ダイエットの仕組みと正体

美容と健康
スポンサーリンク

初出:2020/06/30 Vol.387 糖質制限ダイエットの仕組み

Joker
Joker

先生、ここしばらくよく聞く「糖質制限ダイエット」って実際どうなんですか?

くられ
くられ

痩せるのは間違いないよ。ただし、健康で若い人ならともかく、臓器にダメージを受けてる人がやると、そのダメージを加速させる恐れはある。

Joker
Joker

というと、持病持ちの人がやるのは危ないと?

くられ
くられ

信長の辞世の句じゃないけど、昔の人間の寿命はせいぜい長くて50年程度だった訳でね。その原因になっていたであろうケトーシスをわざわざ起こして痩せようっていうのは、寿命を縮める程度には体に負担がかかると思っても、そりゃおかしくはないんじゃないか?

POKA
POKA

はっはっは。健康的とは言い難い訳だな! まあ、リスクを取ってでも痩せたいというなら、薬物を適度に使ったデッドリーダイエットの方が良いのではないか?

くられ
くられ

それはそれでまあ、うん、そのー・・・(笑)、まあでも、マイナスの側面とかリスクを説明もせず、全力で目を背けて「痩せる!」と煽るよりかは、ちゃんとリスクを紹介するデッドリーな方が誠実だとは思うけど。

POKA
POKA

まあ、楽して痩せたいというマ○タ・・・じゃなかった実験体・・・ええっと、志願者はいつでも歓迎するぞ! 自己責任だけどな!

糖質は人体に欠かせない栄養素

脂質、タンパク質、そして糖質が、三大栄養素として人間が生命を維持するのに必要なものとされています。

確かに血中の糖分が一定以下になると意識障害を起こし、さらに下がり続けると死に至ることさえあります。健常者が糖尿病患者用のインスリンを大量に注射されると死んでしまうのはこの理屈です。

それだけ考えると、糖質というのは欠かせない栄養素であり、よって、血中に必ず存在するようになっています。

しかし、それほどに大事であるために、人間の体は血糖値を維持するための非常手段を持っています。なので、糖分不足でアッサリ死ぬことはまずありません。

スポンサーリンク

糖質不足でも死なないための「糖新生」という仕組み

糖質は生命維持には必須の栄養素ですが、それ故に他の栄養素から体の中で生み出すことが可能です。

なので、ベジタリアンや、炭水化物を抜くいわゆる糖質制限ダイエットなどをしても死なないのは、この糖新生と言われるサイクルのおかげだと言えます。

それ故に、多くのダイエット書では、炭水化物を抜けば痩せると強調し、セレブ向けダイエットプランはほぼ間違いなく糖質制限が含まれています。

糖質制限は「痩せる」という点では、生理学的にも効果があると言えます。しかし良いことづくしでもないのも事実です。

今回はその辺をさらっとおさらいしておきましょう。

ダイエットをするにしても、「良くない部分」をキチッと確認しておくことは大変重要です。

スポンサーリンク

糖質不足の肉体で起きていること

実際問題、人間という動物は、本来糖質がなくても生きていられるように進化してきた生物であるのは確かです。

血糖値を常に維持するために、様々な形で体の中の栄養素を糖に換えることができます。これを糖新生と呼び、人間が食物が長期間とれないときに体に溜めた栄養素を使って体を維持するためのメカニズムの1つです。

故に人間は、将来来るであろう飢餓に対して無制限に体に脂肪という形で備蓄をするように進化してきました。

実際に、肥満の人ほど水さえなんとかなれば、通常体重の人より遙かに長く生きながらえることができます。これは多くの遭難事故が物語っている通りです。

この、言うなれば非常用の緊急モードの肉体では、糖新生を行うためにタンパク質や脂質から無理矢理作ったケトン体が大量に血中に増えます。

これはケトーシスと呼ばれる、ケトン体が過剰の状態を作り出します。健康な人であれば、多少のケトーシスは問題のあるものではないのですが、慣れるまでは頭痛や吐き気、そして集中力の低下などが起こります。

スポンサーリンク

糖質制限ダイエットの正体

通常は、1、2週間でこれらの不快な症状はなくなっていくのですが、どうしようもないこともあります。

それが体臭で、ケトン体(アセト酢酸、3-ヒドロキシ酪酸、アセトン)が汗や皮脂とともに発散することで、なんとも鼻につく体臭になってしまうのです。実際過度の糖質制限をしている人は、わりと鼻につく体臭をしている感じがします。

ただ、このケトーシス状態は、我々の通常の生活ではたまり続けていた脂肪細胞を、日常の体温維持などのカロリー消費に強制的に回すことができます。当然、別のカロリーも制限した上で大量にアミノ酸を摂らせる必要はあるのですけれどね。

ケトーシスをうまく誘導すれば、そのカロリー使用量は、最大で総使用カロリーの30〜40%前後にまで高まるので、うまくいけば約1000Kcal分ほどの体脂肪、脂肪の量にして約100gずつ毎日脂肪が減らせることができるという理屈です。

そうすれば10日で1kg以上体脂肪が減らせ、1ヶ月で3kg減れば見るからに痩せた感じになります。確かに肥満の人を短期間でみっちり絞り上げるにはこの方法しかないのは確かです。

これが、糖質制限ダイエットの本質であり、市販の糖質ダイエットの本で長々と説明している内容の本体です。まとめると数行ですねw

スポンサーリンク

ケトーシスと臓器への負担

しかし、大脳を進化させる上で、体内で作った糖だけで脳の機能をフルに生かすのもまた難しいのも事実です。

またケトーシスは健康な若い人には問題の無いことが多いのですが、臓器を痛めている状態でスタートすると、臓器へのダメージが加速する可能性があります。特に腎臓疾患には禁忌といっても良いもので、腎疾患が近親者にいる場合は特に注意が必要です。

臓器へのダメージが増えることで、肌トラブルも増えることもあり、決して良いことずくめのダイエット法でもないということは心に留め置いておくべきです。

そもそも現代の人間の寿命が長いのは、ある程度栄養豊富な状態で内臓を「甘やかして」ダメージを減らすことで、長寿を獲得してきたという側面があります。

人間の本来の寿命(長くて50年)の原因ともなっていたであろう頻繁なケトーシスをわざわざ起こすダイエットは、誰にでも進められる健康的なモノ・・・とは言いがたいといえます。

スポンサーリンク

痩せたらゴールでもない

確かにBMIが25以上の肥満は様々な病気の原因となり、糖質制限ダイエットでもして、とにかく標準体重に戻すべきでしょう。

しかし、多くのダイエットを行う人が目的とするものは、平均体重以下の理想体型向けの体重です。

二十代ならともかく、これが三十代、四十代と歳を重ねても、平均より低すぎる体重を目指し続けるのは健康からかけ離れています。

ここで大事なのは、ダイエットというのは短期的なものではなく体質を改善するのが最大の目的であるということです。

痩せて太ってと体重がヨーヨーのごとく乱高下するのは最も体に負担が大きいと言えます。ある程度の体重に押さえ込んだら、あとは肥満にならないように、乱暴な食事を避け、なにより運動を生活の一部とするのが最も大切です。

人間が若さと健康を維持するには、日々の適度な運動が大事であることもまた、数多すぎる程の実験で確かめられている事実だからです。

それが分かっているからこそ、他の方法がないのかと模索するわけです。当然いくつか有用な薬もみつかっていますが、運動を超える健康的な減量法は残念ながらありません。

スポンサーリンク

著者紹介

くられ
くられ

サイエンス作家、タレント。シリーズ累計20万部の「アリエナイ理科」シリーズを始め楽しい科学書の分野で15年以上活躍。週刊少年ジャンプ連載「Dr.STONE」においては科学監修を務め、フィクションと実科学との架け橋として活躍中。TV番組「世界一受けたい授業」「笑神様」「MATSU」ぼっちの出演や、YouTubeで80万再生を超える科学動画を「主役は我々だ!」と共同製作も。仕事の依頼や関連情報は https://twitter.com/reraku

「アリエナクナイ科学ノ教科書2」好評発売中です!

新刊「マンガでわかる! 今日からドヤれる科学リテラシー講座 教えて!夜子先生」好評発売中です!

関連記事

糖質制限ダイエットの落とし穴

くられ先生のダイエットコーヒーレシピ

難消化性デキストリンでダイエット

薬局売りのダイエット薬

ダイエットの本質

日々の暮らしと運動

タイトルとURLをコピーしました