【科学の目】FDAの油脂規制・トランス脂肪酸は全廃すべきなのか?

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初出:2015/06/23 Vol.125 トランス脂肪酸は全廃すべきなのか?

Joker
Joker

先生、随分前にニュースにしてましたけど、FDAのトランス脂肪酸規制、去年に実施されてたんですね。

くられ
くられ

ああ、発表された当時、そんな記事も書いたね。

Joker
Joker

「体に「良い油」「悪い油」とは何なのか?」とか、ポータルでの連載記事もありますが・・・

くられ
くられ

うん、そっちでも言ってるけど、別にトランス脂肪酸は絶対悪じゃないよ。

Joker
Joker

結局はバランスの良い食事を心掛けよう、という事になりますね。

くられ
くられ

あと、いつも言ってるけど、運動だね。運動はすべてを解決する!

※本記事はマイナビニュースで公開された記事に対し、大幅に加筆したものとなります。

トランス脂肪酸は本当に有害なのか?
去る現地時間6月16日、アメリカの食品医薬品局(FDA)は、2018年よりマーガリンなどに含まれる「トランス脂肪酸」を含む油脂を使用禁止にすると発表。健康に気を遣っている人ならば、トランス脂肪酸という言葉を一度は耳にしたことがあるでしょう。

FDAによる「トランス脂肪酸」の使用規制

去る2015年6月16日、アメリカの食品医薬品局(FDA)は、マーガリンなどに含まれる「トランス脂肪酸」を含む油脂を2018年より使用禁止にする・・・という発表がありました。

実際に、2018年6月18日に、一部においては延期されたものの、トランス脂肪酸の食品への使用規制は実施されました。

この辺は、農林水産省のページに日本語の概要と、原文へのリンクがあるので、興味のある方はご確認ください。

米国:農林水産省
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トランス脂肪酸は有毒なのか?

さて、少し食品健康に気を遣っている人であれば、一度は耳にしたことがあるトランス脂肪酸。中には、「トランス脂肪酸はとんでもない猛毒で健康を破壊する化学物質だ!」という認識の人もいるかもしれません。

そしてアメリカの決定で「日本はどうするのか!?」「政府はこんな危険な化学物質を放置していていいのか!」と思う人もいるかもしれません。

まずは頭を冷やしてどんな話も冷静に考えましょう。

知っている知識は本当に正しいのか? 噂話なのか、科学的なものなのか? 科学的といっても一部の学者がでかい声で騒いでいるだけかもしれませんし、業界全体ではどう見られているのかはぱっと見分かりません。

特にこの話題はどうしても偏った話が多く、多くの人がどっちを信じればいいんだ・・・となっているものでもあり、評価が難しいでしょう。そういうわけで、可能な限り新しい知見を取り入れて、現在の状況を整理してみようと思います。

もちろん、この記事も参考程度にお考えください。

アメリカの政治事情

アメリカという国はさすが資本主義の本国だけあって衣食住にまつわる財閥系大企業が政治と太く結びついています。

故に、その政策も企業にとって都合の良いものになることが多く、あくまでアメリカ政府が行っている法の変更は必ずしも世界的な研究や科学の標準をベースにしたものではないことがあるということです。

こんなことを言うと「出た、アメリカ陰謀論」なんて言い出す人がいますが、陰謀でも何でもなく、企業批判が違法になる風評被害防止法を本気で検討しているような側面もあります。

名だたる官僚の多くが、堂々と財閥系メジャー企業の役員などを兼任していたりするのが普通ですから、ある意味これ以上ないくらいに資本主義を通しているだけと言えるでしょう。

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トランス脂肪酸が悪者にされるのは「都合が良い」から

そんな中で特に都合が良いのがトランス脂肪酸という物質をとにかく悪者にしてしまえばいいという風潮で、アメリカのすべての健康問題はトランス脂肪酸にあり! といわんばかりのキャンペーンをして、膨大な予算で研究をして、トランス脂肪酸の危険性を訴えてきたわけです。

言うまでもなく、トランス脂肪酸を摂ろうが摂るまいが、過剰なカロリーオーバーな食生活をしていたら体を壊すわけですが、それらの問題から目をそらすには丁度良いスケープゴートにされている感はぬぐえません。

とはいえ、トランス脂肪酸は数々の研究の結果、健康には良くないだろうということはある程度明確といえます。

たしかに、トランス脂肪酸を多く含む、ラクトアイス、準チョコレート、安いクロワッサンなんかを食べるとニキビなどの吹き出物が出てしまうという肌トラブルなどは体感している人も多いでしょう。

ただ心臓病や動脈硬化など命にかかわる病気の原因がトランス脂肪酸が100%原因かというと、多くの論文はなんとも怪しいものです。

例えば、米国看護師追跡調査では、トランス脂肪酸の摂取が多いグループは摂取していない層にくらべて1.6倍の心臓病による死亡だったが、他にストレスや生活リズム、カロリーの取り過ぎなどの多くの因子も踏まえて見るとトランス脂肪酸摂取グループは1.2倍程度の危険度で統計的にはなんとも微妙な評価となっています。

EUの大規模研究ではトランス脂肪酸が心疾患の原因とは言いにくいという見解を出していたりと、正直なところ明確に〜〜だからトランス脂肪酸は100%危険であるというデータというのは無く、全体的に、良くはなさそうだから規制してもいいんじゃないかという程度の評価であるというのは知っておくべきでしょう。

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どんな食品にもなんらかのリスクはある

そもそもトランス脂肪酸が毒であるといわれているのは、トランス脂肪酸は天然には存在しない化合物で、さらに微生物の実験ではトランス脂肪酸を取り込んだグループは死滅するという毒性試験の初期段階のもので、それが人間などの大型生物において優位に作用するなんて研究はドコを探しても無いわけです。

というのも、トランス脂肪酸は別に自然界に存在しないわけではなく、動物性脂肪にもけっこう含まれていることが最近明らかになっており、では動物性脂肪をやめて、オリーブ油などの健康っぽい油に全部切り替えるべきなのかというと、それはそれで暴論です。

オリーブ油は大腸癌と優位に因果関係があると言われています。実際、ラットでの実験で紅花や菜種油などに比べてオリーブオイルのみを与えた個体群は1.6倍大腸癌になったという実験結果があるのです。これまた動物実験での話ですが。

しかし、それを踏まえた上でも、死ぬ病を基準に考えたら、トランス脂肪酸を含んでいながらも死ぬことは少なそうなマーガリンがオリーブ油より安全ですという評価になってしまいます。

つまり、アレがコレだからダメ、故に全部●●にしなくちゃいけない! なんてことはなく、どの食品にもなんらかのリスクはあり、偏っても多すぎても良くない・・・という極めて当然の話に戻ってくるだけなのですが、そういったツマラナイ話は誰も取り上げてもらえません。

トランス脂肪酸はプラスチック油! カビもぜんぜん生えない自然界では分解されない油!! とかの方がセンセーショナルでウケがいい・・・ただそれだけの話なのかもしれません。

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