初出:2018/09/11 Vol.293 機械王の休日:災害時に便利な発電機
改稿:2022/08/13

(ドゥルン・・・ドゥルルルルルルルル・・・)

POKA先生、ニッコニコですが、何してるんですか?

はっはっは。いや何、ちょっと発電機の調子を確かめていたのだ! 今日は屋外での実験をするが、こやつも長年使っているのでな。

あー、外でBBQやるとか、ターボ七輪で使うブロワーを動かすのとかで使ってましたね、その発電機。

うむ。こういった発電機の類はいくつか種類があるが、車に積んでおくと何かと役立つのだ。実際、最近ではソロキャンプだったり、車中泊だったりの電源として使う人もちらほらいるようだしな。

ああ、確かにそういう動画とか見たことありますね・・・あれ、そういえば今日はくられ先生はどこに?

いや、今回は誓って手出しをしてないんだが、燃料のガソリンを運んでいる時に、たまたまその辺に転がっていたフリップフロップにつまづいてだな・・・

(・・・・・・ちーん)

うわあ、真っ黒焦げですね・・・
機械王の休日、第12回をお届けします。今回は、先日の北海道大停電も踏まえ、災害で電気が止まってしまった時に役立つ発電機についてです。もちろん災害時以外でも、野外でイロイロやる時にも便利であります。
あると便利な発電機
災害時や停電時にあると大変便利なのが発電機です。
とはいえ、一言に発電機と言っても、様々な製品があり、どれを選んだら良いか迷います。
今回はその辺について触れていきますが、用途によって随分変わってくるので、適切な発電機を選択しましょう。
発電機に使う燃料の種類
まずは使う燃料の種類から。
燃料としてはガソリン、ディーゼル、カセットガスの三種類が一般的です。どれも長所、短所があります。
ガソリン
発電機の燃料としてはもっとも一般的で、ガソリンスタンドで安価に購入できます。ただし、保管には専用のガソリン缶が必要で、ポリタンクなどは使えません。
また、劣化が比較的早く、数年間備蓄しておくのは不可能だと考えた方が良いでしょう。
ガソリンエンジンは数百Wの出力から、3kWくらいまでが一般的です。小出力の製品は軽量化と静音化が図られており、お手軽に使えます。
キャンプなどでAC100Vが使いたいケースなど、気軽な普段使いにはもってこいでしょう。
ただし、ガソリン式の発電機は、半年以上放置するとキャブレターと呼ばれる部品が詰まり、動かなくなる事が多いです。
そうなってしまうと、分解してパーツクリーナーによる洗浄が必要になるため、要注意です。
加えて、ガソリン発電機には4サイクルと2サイクルの製品があります。4サイクルの製品が一般的ですが、1万円を切るような激安品は2サイクルが多いです。
2サイクル品だと、電圧の変動が大きく、音がうるさい上に排気ガスも有毒なので、値段のみで選ぶのはやめておいた方が良いでしょう。
- ガソリン式発電機
ちなみにガソリン式の発電機の実物はこんな感じです。10年くらい前に購入して使い続けております。
ディーゼル
続いてはディーゼル式の発電機です。ディーゼル燃料はガソリン同様、自動車用燃料としてガソリンスタンドで購入できます。
ガソリンは揮発性が高く、引火点が低いので大変危険なのですが、ディーゼル燃料はそれに比べると、簡単には火が付かず、油に近い性質をしているため、より安全な燃料だと言えます。
このため、ポリタンクなどでの保管も認められており、また劣化も少ないため、備蓄に向いています。
エンジンの出力は1kW以上のものが一般的で、小出力には向いていません。また、エンジン自体が頑丈で重たいので、頻繁に持ち運ぶのではなく、数週間にわたる長時間駆動に向いています。
利点としては、長期間保管しておいても、基本的にエンジンが一発で始動できる点が挙げられるでしょうか。その反面、先ほど述べたとおり重たいのと、騒音が大きいという欠点があります。
カセットガス
最近ではカセットガスを使ったタイプの発電機も見かけるようになりました。
特性はガソリン式に近く、軽量で低騒音です。また、ガソリンエンジンの欠点であったキャブレターの詰まりなどのトラブルも少ないです。
ただし、燃料がカセットガスであるため、ガソリンと比較すると高価になってしまいます。
が、しかし、高い代わりにガソリンスタンド以外でも容易に調達できるのはとても大きな利点でしょう。燃料の劣化もないと言って差し支えないですし、ガソリンのような強烈な臭いもありません。
出力と電気容量
さて、ここまでは燃料別に見ていきましたが、それ以外の点もチェックしましょう。発電機の電気容量は燃費や騒音、機械重量に繋がってきます。
電気容量が増えるほど重たくなり、1000W程度なら片手持ちができるタイプもありますが、1500Wを越えたあたりで片手持ちが難しくなり、また騒音も大きくなります。
この点を踏まえ、欲しい出力に合わせて発電機を選ぶべきでしょう。電子レンジなどのアンペアが必要な機器を使う場合でなければ、出力は低めで充分。片手持ちができる程度のものを選ぶのが良いと思います。
バッテリー+インバーター
発電機を使うのではなく、バッテリーとインバーターを組み合わせて、AC100Vを使う方法もあります。
数kWといった大出力は出せませんが、スマートフォンの充電やパソコンの電源、LED照明など、パワーをあまり必要とせず、静音性が必要な場合には大変便利です。
エンジン式はどうしても排気ガスが出ますが、バッテリーとインバーターはその問題点がないため、室内でも問題なく利用できます。
災害時の停電にはとても役立つはずです。ただし当然ですが、バッテリーはちゃんと充電しておきましょう。もちろん、何度も充電して使えます。
- バッテリー+インバーター
- 充電はお忘れなく
出力波形
発電機にせよバッテリー+インバーターにせよ出力波形を気にしなければならないことがあります。
家電では殆どの場合問題ありませんが、パソコンや医療機器など電源品質が求められる場合はサイン波インバーター搭載型が良いでしょう。
まとめ
4サイクルガソリン発電機
東日本向け
西日本向け
最も一般的。安価。殆どの需要に対応。キャブレター詰まりの問題あり。周波数帯に注意。
カセットガス発電機
カセットガスが高価。発電機も高価。燃料が何処でも買える。排ガスが比較的クリーン。メンテナンスが少ない。
ディーゼル発電機
長時間安定した電力が欲しい。使用頻度が高く燃料を安く抑えたい。燃料を多めに備蓄したい。
サイン波インバーター搭載機
高価。精密な電子機器でも安心。パソコンなどを動かしたい。
追記:2021年現在のポータブル電源
冒頭の茶番でも触れたことですが、近頃はソロキャンプ人気もあって、使いやすいサイン波インバーター搭載のポータブル電源が、容量ごとに価格帯を分けられて比較的入手しやすくなりました。
売り文句に「正弦波」なんて書いてあるものですね。良い時代になったものです。ということで、ここでは編集側の独断と偏見でお手頃なものを並べておきます。
容量ごとに2万円程度から10万円超まである感じです。上を見ると更に高いのもあります。
実際の使用感なんかは、ソロキャンプやってるYouTuberさん達が山ほどレビュー動画を公開しているようなので、それらも参考になるんじゃないでしょうか。
240Wh
400Wh
710Wh
1000Wh
著者紹介

機械工作、テスラコイル、科学装置、探検など油くさい事から宝探しまで色々やっています。構築・錬成、何でも作ります。https://twitter.com/poka_kikaiou
POKA先生の連載「機械王の休日」はこちら

薬理凶室のパワー担当「POKA」。人は彼を「機械王」と呼ぶ。「アリエナイ科学メルマ」でPOKA先生が連載中の「機械王の休日」の記事一覧です。日頃から機械装置を開発しているPOKA先生が見つけたちょっとしたTipsまとめであります。
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